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[コメント] 喜劇 女の泣きどころ(1975/日)

太地喜和子(駒太夫)と中川梨絵(エリザベス・モンロー)のストリッパーコンビと、ひょんなことから二人のマネージャーになった元救急隊員・湯原昌幸の物語。舞台は、境港〜松江〜皆生(かいけ)温泉〜天の橋立〜大阪と移る。
ゑぎ

 瀬川昌治の面目躍如たる、素晴らしい艶笑喜劇だ。開巻は鳥取県境港のロングショット。ズーミングしながら右にパンニングすると救急車が走る。こゝから、劇場での自殺騒ぎの場面となり、スピーディに主要登場人物を見せ切る。これもいい出だしだ。

 全編通じて太地のポカンとした表情も可愛らしくてとてもいいが、しかし、総てのシーンで全力投入している中川梨絵が、支える映画だと云っていいだろう。日活作品以外での中川の代表作は、『竜馬暗殺』よりもこれじゃないか。太地も胸をさらけ出すが、中川のファイトは半端じゃない。寝間着姿でも、乳首が透けて見えている。いや、肌の露出の問題だけじゃなく、彼女の侠気が映画を支えているのだ。中盤の大阪の場面で、裏に川があるアパート(大家が蝶々さん)に、部屋を借りたあたりから、中川が完全にプロットの中心におさまるのだが、彼女の健気さがたまりません。また、湯原の男気と、その変貌の表現もなかなか見事なもので、この人も、どうして、もっと大モノにならなかったのだろうと思ってしまった。

 脇で特筆すべきは、小沢昭一が、まるで本人のような芸能研究家として要所で登場し、真面目にレポートをする部分。あと、中盤で名古屋進出を相談する芸能事務所の経営者・京唄子鳳啓助、そして、終盤勿体ぶって登場する大御所演歌歌手の坂上二郎が大いに笑わせる。

#その他の配役等を備忘で記す。

 冒頭の劇場では皆、お化けのメイク。人見明潤ますみがいる。境港の警察署の場面で、課長刑事として財津一郎。太地の元カレで流れ者の男、橋本功。小沢昭一の横にいつもいる女ディレクターは「たかこ姫」岡本隆子だ。レズビアン・ショーのオーディションで登場するのは、ビーバー(川口まさみ)。本物のレズなので不合格になる。

(評価:★4)

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