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[コメント] 續姿三四郎(1945/日)

本作においても、全般に黒澤らしさが希薄。本二部作よりも、『一番美しく』の方がずっといい。矢張り本作の肝は、月形龍之介の兄弟の造型だ。
ゑぎ

 月形は前作の檜垣源之助と、その弟・鉄心の二役を演じる。鉄心のその下の弟・源三郎に、河野秋武。河野は、前作では三四郎の先輩弟子の壇義麿の役で、本作の壇義麿は森雅之なのだ。黒澤も、こんなアクロバティックなキャスティングをやっていたのですね。推量するに、前作の配役を代えてまでも、河野に源三郎をやらせたかったということか。確かに本作のストロングポイントは、何と云っても、源三郎の奇異さ、奇矯さなのだ。

 菅井一郎が、アメリカ大使館におり、なぜかボクシングの試合を仕切っている。この役も面白いし、このあたりの米人の扱いも興味深いのだが、ボクシングのファイトシーンと興奮する観客を映したモンタージュがなかなか頑張った演出だ。こゝは屋内の望遠カメラなのかもしれない。しかし、もっと柔道場なんかで、望遠カットがあってもよいかと思ったのだが。

(評価:★3)

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