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[コメント] バーバリー・コースト(1935/米)

霧の海上を漂う船のカットから始まる。サンフランシスコを舞台とし、町を牛耳るサルーン経営者−エドワード・G・ロビンソンとその情婦でルーレットのディーラーを任されるミリアム・ホプキンス、そこに砂金で一山当てた純朴な青年、ジョエル・マクリーが加わって三角関係が描かれる。
ゑぎ

 しかし、本作もホプキンスを中心とする女性映画(女優映画)の側面が強く、これをもっとロビンソンの映画にしていれば、ホークスらしさがさらに出たのではないかと思った。

 とは云え、フィルム状態も良く、見ごたえのある画面の多々ある面白い映画だ。もう冒頭の船の場面から力漲るカットの連続だが、シスコに上陸した直後、婚約者の不遇の死を聞いた後の、ホプキンスの決意表明のシーンが、少々演劇的ではあるが、特筆すべき力のあるカットだ。

 あと、重要な脇役として登場する、ウォルター・ブレナンについて触れないわけにはいかないだろう。最初の海上のシーンから出てきて、ラスト近くまで要所で現れる、右目にアイパッチをした隻眼の男。最初は真正の悪党かと思わせるが、後半になるにしたがって役割が増し、どんどん魅力的になるのだ。もうキャラクターが途中で変わってしまっている、と云っても過言ではないのだが、このあたりはホークスの撮影現場での裁量の部分なのだろう。この役があるのとないのでは、映画の面白さが全然違うだろう。

#もう少し脇役を中心に備忘を。

 シスコ上陸に際してホプキンスを助け、後に新聞社を立ち上げる男・コッブはフランク・クレイヴン。ロビンソンに敵対する男達のリーダ格がハリー・ケリー。ロビンソンが経営するサルーンの名前は「ベラ・ドンナ」。ロビンソンの子分で、寡黙な黒ずくめの悪役はブライアン・ドンレヴィだ。ルーレットのカモになるのはドナルド・ミーク。『駅馬車』等いつも気弱な男ばかりを演じるが、本作では、わりかし強気な役。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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