[コメント] 殺人者(1946/米)
バート・ランカスターのデビュー作で主人公。しかし、なんと、ランカスターは登場すぐに二人組の殺し屋に銃殺されてしまう。その後、保険屋のエドモンド・オブライエンによる探偵物語となり、オブライエンがインタビューした相手の回想でプロットが繋がれるという『市民ケーン』のような構成なのだ。
本作もオープニングのタイトさが突出しており、それを超えるシーンは、殆ど出て来ないのだが、中盤、帽子工場の給料強奪シーンはクレーンを使った見事なシーケンスショットで、特筆に値するだろう。従業員たちに交じって一味が工場へ入場する場面から、ビル2階の経理部の窓へカメラは寄って行き、屋内の現金強奪シーンを見せ、その後の工場からの退場と、警備員との銃撃、車での逃走までを見せ切るのだ。
あと、本作のストロングポイントは何と云ってもヒロインで運命の女、エヴァ・ガードナーのオーラだろう。登場のパーティシーンでは、まぶしいぐらいの美しさ。ラスト近く、オブライエンとホテルのバーで会話するシーンのガードナーも凄絶なまでに美しい。また声もいいのだ。エンディングもガードナーが締める、という扱いで、さらに、エピローグはオブライエンなので、最終的に本作はガードナーの映画であり、オブライエンの映画だったという感覚が強い。ランカスターも、もう少しガードナーと絡みがあれば良かったと思う。
#備忘
・開巻の殺し屋二人。マックスはウィリアム・コンラッド。アルはチャールズ・マックグロー。ダイナーのカウンターには、ニック・アダムズ(役名)がいる。『青年』(『HEMINGWAY’S ADVENTURES OF A YOUNG MAN』,1962年)では主人公の役だ。(リチャード・ベイマーが演じていた)。
・ヘミングウェイの原作は数ぺージの短篇。映画の冒頭部分しか描かれていない。つまり、ほぼニックがスウェード(ランカスター)の寝床を訪ね、会話をするまで。という訳で本作の中盤以降は完全な映画向け創作なのだ。
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