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[コメント] 画家とモデル(1955/米)

ディーン・マーティンジェリー・ルイスの底抜けコンビに2人のヒロイン、ドロシー・マローンシャーリー・マクレーンががっちり絡む、フランク・タシュリンの楽しいコメディ。
ゑぎ

 ちなみに、ラオール・ウォルシュにも同名作があるが、なんの関係もないようだ。本作の画家はマーティンとマローンで、モデルはルイスとマクレーンが務めるが、マーティンもモデルになるシーンがあり、他のモデルとして、アニタ・エクバーグも登場する。

 マーティンの歌唱とルイスの顔芸・ドタバタ芸の見せ場は沢山あるけれど、私が厳選するなら、マーティンだと、路上で子供(女の子)と黒人バンドが現れて、唄い踊る場面が一番気に入った。俯瞰の移動ショットが冴えるし、また女の子のダンスが上手なのだ。ルイスの一番の見せ場はマクレーンのそれとも重なるシーン、マーティンがマローンの背中にオイルを塗りながら唄う「イナモラータ」をマクレーンが引き継いで唄いはじめた後、ルイスが登場して階段と手すりを使ったナンセンスなドタバタとなる場面。私はこゝが全編の白眉だと思った。ルイスの身体能力も凄いがマクレーンのコメディエンヌとしての才も大したものだ。それに、カット割りもトラックバックも効果的だ。

 他にも良いショットという意味では、エクバーグの登場シーンでもある、モデルエージェントの玄関前の階段でマーティンとマローンが会話する仰角ショットがカッコいい。あと、アパートのバスタブの中にいるマーティンと、一階にある電話との間を行ったり来たりするルイスのシーンで見せる、手前のバスルームから画面奥のドアを縦構図でおさめたディープフォーカスのショットも明記しておきたい。

 さて、2人のヒロイン、マローンとマクレーンはほゞ同等の尺で(あるいはセクシー度合で)描かれているが、上にも書いたコメディ場面の目立ち方といい、終盤のアクションシーン(敵の大邸宅でのルイスの活躍場面)には、マクレーンしか参加していない、ということもあって、どちらかを選ぶとするなら、マクレーンが勝っていると私には思える。マローンは30歳頃で、しっとりとした中堅女優(翌年『風と共に散る』でオスカー受賞)。マクレーンは20歳頃のデビュー時期(同年の『ハリーの災難』がデビュー作)で若さが弾けている、という好対照な点も本作に良い効果をもたらせている。

 あと、もう一人、敵(ソ連?)の女スパイ役でエヴァ・ガボールも出て来て、マーティンにもルイスにもハニートラップを仕掛けるのだが、なんか途中で簡単にトラップを諦めてしまう、といった中途半端な描かれ方だ。敵側にはスティーヴン・ジェレイジャック・イーラムなんかもいるのだが、きちんと仕事をさせないのは脱臼ワザを狙ったものかも知れないが、至極残念に思う。

#備忘でその他の配役等について。

・出版社のマードック氏はエディ・メイホフ。出版社に現れる生意気な少年は、『紳士は金髪がお好き』でヘンリー・スポフォード3世をやった子役。

・米軍ロケット試験場の場面にカールトン・ヤングがいる。将軍に漫画を渡す人。敵のスペースステーション実験施設で最初に喋るのがスティーヴン・ジェレイ。FBIのチーフオフィサーはバーバート・ラドリー

(評価:★3)

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