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[コメント] 日本の首領 完結編(1978/日)

本作のラストカットは三船敏郎なのだが、一作目からの流れで云うと結局トリを務めたのは高橋悦史ということになる。元々ヤクザではなく医者であり娘婿としてファミリーの一員になったのだが、時にヤクザ以上に冷酷に、時には苦悩しながら佐分利信のために貢献するという三部作通じて最も面白いキャラクターがこの人でした。
ゑぎ

 一作目、二作目はそれぞれ若頭を演じた鶴田浩二松方弘樹が重要な役回りを担ったが、本作の若頭は遠藤太津朗で配役としては渋いけれど目立たない。その分よけいに高橋の見せ場が多くなっているように思う。また、高橋と共にラストを締めるのが大谷直子で、町工場の娘として登場し寺田農菅原文太西村晃、高橋悦史と関係を持ちながら銀座で一番の店のママにまで登りつめるという圧倒的なヒロインだ。このキャラも実は何を考えているのかよく判らないところはあるのだが、大谷直子らしいキッパリした明澄さで納得させられてしまう。そして本作の特筆すべき脇役は菅原文太だろう。菅原は三部作共に異なる人物を演じさせられているが本作のぶっ飛んだキャラ造型は三部作中一番面白い、というだけにとどまらない偏執的な奇矯さを獲得している。 もう一つ特記しておきたいのは中盤のサイパン島のシーン。ホテルや車の場面でスクリーン・プロセスが使われているのだが、これがかなり上手く使われる。また、カーチェイスもそうだしヘリコプターの断崖激突炎上シーンもよくできている。

#備忘

 前二作で内田朝雄が演じたフィクサーの役を本作では片岡千恵蔵が演じる。 また片岡の秘書で小林稔侍。三船の側近には渡辺文雄。前作では登場しなかった三船の妻子。妻は桜町弘子。娘は山本由香利。山本がサイパンで出会い恋仲になるのが織田あきら。織田は政治家・西村晃の庶子。また織田は歌手の田口久美と同棲している。田口が脱がないのはなぜ?金子信雄は前作と同じ田中角栄をモデルとした政治家。京唄子がバーのママとして出てくる。西村の情婦。本作では小池朝雄が警察側。東京地検には鈴木瑞穂がいる。ラストの三船の台詞「やくざになるのは医者になるほど楽じゃない!」

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] disjunctive[*]

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