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[コメント] アンタッチャブル(1987/米)

公開当時、あまりのカッコ良さにしびれまくり、生まれて始めて映画の台詞を覚えた。「You got it?」(狙いは?)「Yeah, I got it.」(完璧です)
mimiうさぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これを観たのは、高校生の時だった。いかにケビン・コスナーが素敵で、アンディ・ガルシアがかっこいいかを、とくとくと友人に説いた記憶がある。

しかし、その後エリオット・ネス著の『アンタッチャブル』が、かなり脚色されている事や、コスナーの女グセの悪さなどを知り、果たしてこの映画がそれ程までに良かったのかと疑うようになっていた。

そして、(ビクビクしながら)再見。ところが、この心配は大きく外れてくれた!

そして、当時気づかなかった007さながらのショーン・コネリーの渋さ、ロバート・デ・ニーロの怪演にしびれてしまった。オペラで涙するデ・ニーロの表情と言ったら!もう最高この上ない!

実際『アンタッチャブル』と、カポネらはドンパチしなかった。さすがのマフィアでも表立って警察に銃は向けられなかっただろう。アンタッチャブルは、主に盗聴などでカポネの酒の密造所を摘発し、徐々に追いつめていった。しかし、もっと重要な事は、アル・カポネが大きくなり過ぎ、賄賂で私腹を肥やしていた役人らの邪魔な存在になってきた事だった。

最後の判決があまりにあっけなくて、拍子抜けしてしまった人も多いだろう。大物俳優の行く末を決めるには、あの弁護士では役不足だった。2時間では時代背景を描き切れなかったのだろうが、ああもあっさりした裁判にせざる得なかったのには、カポネを有罪にしたい政府らの思惑により、裁判は終始カポネ有罪への道を辿っていた史実があるからだ。事実、当時の裁判を再現した模擬裁判を行ったところ、カポネは無罪だったと言う。

アンタッチャブルは、表の顔であり、裏には政府の思惑があった事はこの映画では触れられていない。

そして、アル・カポネ自身が慈善活動も活発にしており、市民からそれ程までに嫌われていなかった事も省かれていた。冒頭の女の子を巻込んだ爆発事件は、カポネを「憎むべき悪」として描くためであろう。しかし、(個人的見解なのだが)私はブライアン・デ・パルマ監督の演出する血があまり恐くない。ネスを脅すにしても中途半端で、監督が向かわせたい方向のカポネ像へ至る残忍さは伝わらなかった。これは、この映画が「娯楽」の域から出ない一つの原因ではないかと思う。

けれど、これが娯楽映画だからと言って、好きである事には変わりがない。あの階段のシーンは、いつまで経っても私の中のベストシーンだ!

(評価:★5)

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