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[コメント] U−571(2000/米)

「潜水艦映画」とかけて「京都人」と説く。その心は・・・
ごう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







Uボート奪取後、残った乗組員の連帯感が全く感じられない。うかうかしてると白人の若い水兵の区別がつかなくなってしまう。それは思うに細かいカットの連続で、ピンチのシーンなどはそれぞれ鬼気迫る顔をしているものの、そんな彼ら全員を一つのフレームに収めるシーンが少ない(ひょっとしたら全くなかったかもしれない)ことと、そもそも各人のキャラクター説明や彼らと主人公との関係性の説明不足が影響しているように思える。

カットはともかく、キャラや関係性に関しては一応オープニングでいきなり説明している。しかしここで中心になるのは艦長であるB・パクストンと主人公M・マコノヒーとのの対立であり、また話そのものの説明もしないといけないとあって、他の乗組員との関係性については明らかに不足気味である。艦長との関係についてはその後も時間を取っているので、彼が途中で死んでしまうシーンについては十分カタルシスを得る事が出来るのだが話としてはまだ半分。ドンパチだけで乗り切るにはチト苦しい時間が残る。

もっとも説明不足の部分は中盤以降でも十分取り返せる筈なのだが、残念なことにそのチャンスも無理矢理ピンチを作り出す為に登場させた唯一の生き残りドイツ軍艦長を船内に残したせいで、カメラは船内を移動せざるを得なくなり、結局せわしないままイベントだけが発生すると言う事態になっている。唯一落ち着けたシーンと言えばH・カイテルがM・マコノヒーに心得を指南する所ぐらいなのだが、彼にはそのシーンそのものが見せ場であり、それを活かす見せ場はその後全く観ることは出来ない。

ドイツ軍艦長にしても、序盤で敵の捕虜を無慈悲に撃ち殺すと言うシーンを入れた割には全くの無駄遣い。どうせなら「海面を漂っている所を友軍の駆逐艦に救助され、その船で同じ潜水艦乗りの知識を糧に執拗に追いかける」と言う風にすればもう少しすっきり、そしてはっきりした対立軸が打ち出せたのではないだろうか。

潜水艦物には比較的外れが少ないのは事実だ。この作品も及第点ではある。しかし過去の名作を越える、または並ぶ新しい作品を作るのは意外と難しく、

「一見敷居は低く、人当たりはいいけど、本心かどうか安心は出来ない」

という、昔何かの本で読んだ京都人気質的なジャンルなのかもしれない。

※京都の人、気を悪くしないでね。だって何かの本で書いてたんだもん。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] トシ ハム[*]

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