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[コメント] ローズマリーの赤ちゃん(1968/米)

華奢なミアが可愛らしい。ブルーのキルトのガウンも少し大きめのボアのスリッパも黄色いミニのワンピースも全てがミアを引き立てる小道具。そう、彼女の髪や控えめな胸さえも、だ。彼女を虐める悪い奴は誰だ・・・?
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヒル医師から妊娠の告知を受け、受話器を抱きしめて赤ちゃんをあやすように小さく身体を揺らすミア。とても可憐だ。細い首、長い四肢、全てが可愛らしい。

そんな彼女が、母親になろうとしていく上で、可憐さは強さへと変わっていく過程がリアル。

彼女の変容を単なるマタニティ・ブルーと受け取れる伏線の敷き方や、周囲のどこまでが彼女の味方なのかわからない恐怖。

中でも公衆電話のシーンは秀逸。派手な音や血飛沫や化け物を用いなくても、こんなに怖いシーンが演出できることを、現在の監督たちはもっと学ぶべきだ。

全ての事実を知ってなお、彼女は自分の子をあやす。 女とは、母とは、かくも強い生物なんだと知った。 どんな姿形であれ、間違いなく『この子』は彼女の胎内で育まれた命。 生まれた直後にわが子が殺されるかもしれないと考えた彼女。 死産だと告げられた彼女。

それでも、自分の子が生きている、泣いている、そのことが悲しくもあり嬉しくもあり、彼女はこの子の母として生きることを決めた。

その心情が、見て取れる類稀なるストーリーがしっかりしたホラーサスペンスだと思った。子の異形振りを画面に映さないあたりの演出も想像を掻き立ててよい。

最近のホラーが、いかに単なる「びっくり箱」であるかがよくわかる模範的な映画だと思った。

僕が生まれる前の映画・・・? 凄すぎる。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ぽんしゅう[*] おーい粗茶[*] 緑雨[*] ジェリー[*]

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