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[コメント] 探偵はBARにいる(2011/日)

素直に面白かった。けど、後で良く考えてみると、この探偵、観客に事実を説明する以外、実は何もしてないじゃないか、と思わされる。加えて、おそらく原作では上手く描かれているんだろうけど、映像化するに当たって致命的な伏線がある。依頼人である電話の主・近藤京子が誰か、「声」でかなり早い段階にわかっちゃうと言う・・・。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大泉洋がこんなにハードボイルドにフィットするとは思わなかった。

ところどころ大泉節とも言うべきボヤキが笑いを誘う。

飄々とした松田龍平も好演。こういう何考えているかよくわからない役を演じさせたら多分今の映画界で一番なんじゃないかな。

物語はバーに近藤京子と名乗る女から依頼の電話が掛かってくるところから本題に入る。

途中、近藤京子は、テナントビルの立ち退きに反対していたが放火によって既に死んだ人間だと判明。

霧島会長の死、近藤京子の死、放火犯と見られる少年のシンナー中毒死。3つの事件が次第に明るみになってくるにつれ、物語は「じゃ、電話の主は一体誰?」という謎にシフトしていく。

近藤京子の異父姉妹に吉高由里子がキャスティングされていて、大泉も電話の主である近藤京子と名乗る女性に「実は眼鏡が似合う美人だったりして」等と言っていることから、ここはミスリードを誘う伏線だと読んだ。

だが、残念なことに女優の声っていうのはとても個性があって、電話の主・近藤京子が実は小雪だと言うことはかなり早い段階でわかってしまうのがもったいない。

どう聞いても吉高由里子の、あのちょっと舌っ足らずな甘い声とは似ても似つかない。

ただ、このキャスティングが失敗だったからと言って、この映画の面白さが激減するか、と言うとそうでもない。

随所で見せてくれるアクションシーンがとてもテンポよく2時間超ある映画を退屈することなく観終えた。

容赦なく人を惨殺する高嶋政伸もキモくていい(なぜこんな残忍な男が殺害された少年の父親からのユスリに応じていたかという疑問は残るが・・・)。

いいオンナ・悪いオンナ、両面を見せる小雪の演技はもちろん文句なし。

大泉のおっぱいパブでのダブルおっぱいに対して、ヲタク臭のする松田が脱衣麻雀のおっぱいシーンに興じているシーンw、弾切れの拳銃、オメガの時計など、小物も充分活きている。

「依頼人を守らなくちゃいけないんだよ!」「もっと早く走ってくれよ!」

小雪からの置手紙を読み、小樽から札幌に向かう列車の中での大泉の演技には涙すら流れた。

そして、エンドロール後、久しぶりに「名コンビ」映画の誕生か? 続編もあり? と思わせるラスト。

満足。うん、大満足。

(2011.09.09 試写会レヴュー)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)カルヤ[*]

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