[コメント] マリー・アントワネット(2006/米)
描かれているのは「しきたり」と放蕩の日々。それは彼女が望んだものではなかった。時の経過を絵画で表現し、彼女の一生を描く。見るべくは豪華な衣装と奇抜な髪型。大量の残飯。歴史に言われるような悪女には見えなかった。ただ、ほんの少し国民感情に鈍感だっただけ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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『スパイダーマン』シリーズでの彼女はとても魅力的な女優だとは思わなかった。
だが、本作のキルティン・ダンストはとても役に合っていた様に思う。
特にオーストリアから国境を跨いでのお引渡しからお輿入れのシーン。
オーストラリアから持ってきたもの、着てきたもの、連れてきたものを一切合切それこそ身ぐるみ剥がされオーストラリア領から出る。
そしてフランス領に入る。
まだあどけなかった彼女は既に、王太子妃の顔になっていた。
決して美人ではないが、所作と衣装によってそれなりの気品を持った女性を演じていたように思う。
早く子を産むことを強いられ、だが夫は肝心なときにインポという、超絶どうしようもない日々とプレッシャー。
「馬鹿みたい」なしきたりに縛られ、「それがヴェルサイユでございます」と答えられる環境にあって、アントワネットは何か悪いことをしたか。
不貞を働いた、賭博に明け暮れた、日々贅を尽くした食事を少し齧っては残した。
本作で描かれた彼女の罪はただただそれだけだ。
「宝石商から毎日届くダイヤを止めてちょうだい」
彼女はそう言った。
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」
そんなことは彼女は一言も言ってない。
全てがヴェルサイユのせい。
全てがアメリカ派兵のせい。
最後まで宮殿に残り夫の傍に居続けた彼女は、後世に語り継がれる大罪人には見えなかった。
結果として、作者の意図通りのアントワネットがここにある。
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