まず、この映画の何が大好きってところから語ります。

この映画、クァク・ジェヨンの監督・脚本とソン・イェジンの可愛さが相まって、 『猟奇的な彼女』はおろか、『ラヴソング』まで凌駕してマイランキングを駆け上がってきた。

もちろん、ＰＯＶにも追加だ。

この監督、ラストに大どんでん返しを用いるのが大好きなようで、何度も鑑賞したくなる。

なるほど、オチを知ってから伏線を拾っていくと、驚くほど繊細だったりする。

例えば、冒頭。ジヘが母ソン・ジョヒの手紙を眺めるシーンで、宛名にソン・ジョヒ、差出人にユン・テス、手紙の内容を読み進めて暫くしてオ・ジュナ？と小首を傾げるシーン。

サンミン先輩の苗字が最後まで伏せられていること。

ジヘが前髪を「フッ」と（スマップの中居君のように）吹き上げる癖が髪が伸びてからのテスと同じ癖だったり。

サンミン先輩がプレゼントに入れた手紙の文面がジュナがジョヒに残した手紙と同じだったり。

ジヘの父が急逝したことが冒頭で語られているが、テスがやたら貧血で倒れがちだったり。

ジュナの遺志で遺灰がまかれるシーンでも、未亡人となったジョヒは旧姓に戻っているし。

小さな魚・ネックレス・ジュナとテスの出会いの時期とジョヒとジュナの出会いの時期の前後とか、ミスディレクションも何ヶ所か用意されてて、本当によくできた脚本・編集だと思う。

「母と父のその後の話はよく聞いて知っている」ってジヘが言ったときですら、まだ結末が読めなかった僕はホント「ポンコツ旦那でごめんね」な大鶴義丹な心境だよ。

これだけ伏線が用意されているにもかかわらず、初見の時にはギリギリまでジヘの父親がテスだと確信できなかった、というよりは、サンミンの父親がジュナだと確信できなかったんだ。

あ〜、またヤラレタって感じ。『猟奇的な彼女』のときと同じように。

まだまだ語るよ、僕。

この映画で好きなシーン。

お化け屋敷と噂される廃墟で浮浪者が出てきて、ジュナとジョヒが何度も何度も叫び合いするシーン。可愛い。（ちなみにこのシーンの少し前に二人の背後には白装束をまとった髪の長い女性が通り過ぎてます。ホンモノではないだろうけど）

ジョヒが足を挫いて、ジュナがおぶって歩くシーンの会話。

ジョヒとジュナの順番が巡ってくるまでのフォークダンスのシーン。

ジヘが「トラバラ（振り向け)、トラバラ、トラバラ・・・」っておまじないするシーン。

ジヘとサンミンの図書館までの道程。立ち寄るごとに前髪を気にして直すジヘの仕草。可愛い。

ジヘがサンミンに傘を届けに走るシーン。ホントに嬉しそう。

唯一、気になったことは、ジュナの死の理由と遺灰を散灰する際にジュナの妻と子供（サンミン）が呼ばれていなかったこと。離婚後なのかジュナの遺志なのか、とにかくサンミンの母親の存在は無視されていることだけが気になった。

でも、あの場にジュナの妻とサンミンが居合わせたら、ジヘの虹の記憶は一転して、母親ジョヒと見知らぬ女との険悪な雰囲気の記憶となり、下手すればトラウマにもなりかねなかっただろうけど。。。子供って、結構そういう雰囲気、見抜くからね。

それと、ジヘの女友達のスギョンがやたら積極的で、途中から連ドラによく配されるMEGUMIの役にしか見えなかった。

で、ココからが本題なんだけど、この映画の評で、「都合良すぎる」とか「古臭い」とかよく耳にするけど、「そういうの期待して劇場に足運んだんじゃないの？」と言いたいの。

だって、韓国の恋愛映画だよ？

しかもクァク・ジェヨンの脚本だよ？

他に何を求めるのかなぁ。

「都合良すぎる」って評には、この映画の中の「偶然」「運命」「必然」などのシーンや台詞が多用される点についての監督のコメントを引用しておきます。

「私は、世の中のあらゆる法則は偶然の法則にしたがって動かされ、人間はそれを必然と結論付けるのだと思っています。偶然が存在するからこそ、人生に希望をかけられるのだと思います。「猟奇的な彼女」の台詞にあったように、「偶然とは努力した人に運命が与えてくれる橋」だと思っています。努力しない者には偶然も存在しないばかりでなく、それはただの意味のない偶然であるだけのことです。」

「古臭い」って評には私見を。

原題は『THE CLASSIC』。

きっと監督は敢えて懐かしいような、古典的な恋愛モノを目指したんじゃないかな。その点においても成功していると思う。監督のマーケティングは間違ってない、と思う。

最後に余談だけど、韓国人って「うんこ」って言うと笑うのかな。

フンコロガシとか検便とかオナラとか、あれで笑えるなんて、いい意味で子供みたいだと思っちゃった。しつこ過ぎて僕も笑ったけれど。

いつか推敲します。長過ぎだ、コレ。