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[コメント] スイミング・プール(2003/仏=英)

BSで知らずに見たら、引き込まれました。
草月

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







シャーロット・ランプリングですよね〜これほど美しく年老いるって、私生活が充実してたんだと思います。心身とも健康、または正しい心を持った人生を送った人間の“顔”してますよ。とても知的。

映画は『まぼろし』と同じ路線。同一人物にも見える。内なる自己との対話を映画にしたような感じ。 スランプに陥った老女流作家が、欲求不満な自分を持て余し更年期障害満開フルスロットで、周囲に醜悪な面をさらけ出してしまう。 出版社社長のススメで、南仏の彼の別荘へ休暇に向かうことにしたサラ。勿論彼との逢瀬を期待して。 しかし、当然の事ながら彼は来ない。ほったらかしにされてしまう。

でも・・・自然豊かで閑静な南仏の田舎町で、彼女は徐々に癒されていくんだよね。 出版社社長が来ないと分かってイラっとするけど、自然には勝てない。 もう一つの自然=肉体の欲求にも勝てないが、大いなる自然の力の方が強いんだよね。 自分の妄想を、小説に昇華できたんだよね、サラは。

ここだよね、芸術家の芸術家たる所は。ドロドロした欲求や自己中は、偉人だろうが小人だろうが人間みんな持ってる。芸術家はそれを作品に昇華できるんだよね。うんうん。あ、でも別に芸術家でなくても、こうやって映画の感想を書いたり、文字におこして考えや感情を整理すると、見えてくるものがあるよね。私たち一般人にもね。

別荘で作品を書くことで彼女は徐々に、スランプを脱し、また出版社社長との関係にも自分でピリオドを打てるほどに精神的に一山超えたんだと思う。

日常生活のいわゆる“つぶやき”を、ストレートに映画にし、味付けにサスペンスタッチを入れたけど、この映画の肝は、老齢の流行作家サラの更年期脱出=人生の再出発がメインテーマだと思うけどね。 老いてなお引きずられるセックスに関しては若い想像上の出版社社長の娘ジュリーを通して語らせてる。とても扇情的だけど、輝く若い肉体だけで表現される即物的なセックスだけでは彼女の心は癒されないし満たされない。 殺人は、社長を心の中から消す比喩だと思うけどな。

若いジュリーの肉体ばかり観客は堪能するんだけど、絶体絶命の危機、庭師に遺体を発見されそうになる時にとっさにとったサラの行為(胸はだけ)は、実は私は大笑いしてしまいました!!いや〜これってコメディにも使える設定ですよね。例えばブスで中年のおばさんが、全裸になって男の気を引いて何かの発覚の危機をとめてしまうとか。。。これって日本のお笑い番組の見すぎかも(>_<)。。コホン。。 まあね、いくつになってもセックスの欲求はあるわけですし、庭師に犯されたい、弄られたいって、まあ女性の深層心理にはよくあることでしょう。このシーンは唯一、個人的には緊張が緩んだ瞬間、笑いをさそう場面でした。「こんな事で殺人の発覚は免れないよ」と思いました。それが伏線だかどうかは分かりませんけどね。

ラストは、突然にやってきました。なーんだ、とも思ったし、あらあら、とも。。 不満な日常から、幻想の南仏の非日常を経て、新たな日常(社長との決別?やっと別れられた!?)が、って感じですかね。 多分若いころ見たら全然不満に感じたかもしれないけど、私も結構年齢行ったので、かなり共感出来ましたわよ〜〜〜

(評価:★4)

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