僕も物創りを生業にしている人間なので、セブンのような技術的に完成度が高い作品には点数が甘くなってしまう傾向があります。この作品は演出やキャラクターの描写が絶妙です。天国から地獄へ突き落とす構成も胴に入ってます。これは僕も認めざるをえません

デビッド・フィンチャー監督の才能は超一流だと思います。ですが根本的に僕とは考え方の相違があるみたいです。セブンでは最後に妻が殺され、その犯人を夫である刑事（ブラッド・ピット）が撃ち殺します。目には目を歯には歯を。ハンムラビ法典の経典となんらかわらないテーマなのです。時代劇風に言えば仇討ち、現代の戦争で例えれば報復攻撃。こんな事がテーマとして述べられる事自体が僕にとってはゆゆしき問題なのです。

彼（ブラッド・ピット）は刑事です。刑事は犯人を捕まえるのが仕事です。人を裁く仕事ではないのです。

確かに物語の流れとしては、彼の感情が高ぶって殺したのは必然性があると思います。間違ってはいません。ただしその行為を最後に幕を引いてしまっては、そこには報復と言うテーマしか残りません。虚しさが残るだけです。

結末は彼（ブラッド・ピット）が刑事達により連行されてしまうのですが、これはデビッド・フィンチャー監督の上手い所だと思います。悔しいかな、黒人刑事が「犯人を殺してはいけない」言うまとめ役として描かれているので、”目には目を歯には歯を”では無いとも受け取る事が出来ます。僕はそうは受け取らなかったのですが、このような逃げ道も残す辺りが４点を付けた所存でもあります。