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[コメント] エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事(1993/米)

貞淑な妻が、耐え忍ぶことで放蕩夫を家庭人として絡め取る。進歩的な思想を持つ夫と古風な妻との一種の主従的な関係が、双方の家庭人として人生の中で立場が逆転する(あるいは逆転していた)。それに気づいた後年に夫は贖罪と許しを感じる。
Kavalier

原作は未読ながら、おそらく作中当時の、アメリカの上流社会での、進歩思想(恋愛なら自由恋愛)が善で、古典思想(恋愛としてなら家柄や家風や身分に従った恋愛・結婚)が旧来的な価値観で悪とされていた風潮の上っ面の安っぽさ皮肉ったのだろう。だたそういった2項的な価値観の対立が存在した原作が書かれた当時の世相を予備知識として知らないと、恋愛劇を通して浮かび上がる文化・価値観の差が今に生きる観客には非常には理解しずらい。つまり、今現在の日本やアメリカを代表とする先進国では、専業主婦になろうが、キャリアウーマンになろうが、自由恋愛で結婚しようが、お見合いで結婚しようが、一生独身を通そうが、、それは多様な価値観の中からの一つの選択として当たり前に受け取られている(はず)。この作品で批判されているであろう、「(当時の)進歩思想」はもうすでに社会的な命題として機能しなくなっているため、結果、恋愛劇だけ抽出された物を見せられることとなり、今、現在この映画を見ている観客達はおそらくその安っぽさに少し困惑してしまうのではないか。

投票されていた方すいません、書かれている内容が少し分かりずらいと思ったので、加筆・訂正しました。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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