そのことがこの映画を見るとよくわかる。 扇やひらひらと長いスカートを使った格闘シーンの優雅さを見よ。 長椅子を使ったシーンでのユン・ピョウの足捌きの美しさを見よ。 「ジャッキー・チェンの映画での格闘シーンはダンスみたいでリアルさに欠ける」 という声はあながち間違いではない。彼は、ただ拳をブン回すだけの無粋なシーンなど自分の映画に入れたくないのだ。 リアルな闘いが観たければストリートファイトかそれに近い格闘技を観ればいい。

だがジャッキー・チェンはコリオグラファーとして優れているだけではない。 「ジャッキー・チェンの映画での格闘シーンはダンスみたいでリアルさに欠ける」 という声はやはり間違っている。 ラストの一騎打ちを見よ。 敵役の残忍なまでの強さ。そしてボロボロに傷つき土まみれになりながら何度も何度も立ち上がって闘いを挑むジャッキー。 この長い長い闘いのシーンには力強さと躍動感が漲っている。 そして殴られ、蹴られ、地面に叩きつけられる肉体の痛みがこれほどリアルに伝わってくる映画は、そうは無い。

ジャッキー・チェンは世界有数のコリオグラファーであり、世界一のアクションスターである。 それはこの映画ではっきりと確立されたことなのだ。