背景なり人物の相関関係なりの客観的な説明を省いた分、人物の造形をわかりやすくして「語らずとも理解できる」ようにする必要が生じたのは自然の理。

一番顕著なのはりょう演じる母親。一目見ただけで「こりゃダメだ」と思わせる、わかりやすーいダメ母オーラ。それだけ演出力・演技力が高いのだと言えるのかもしれないけど、その他の登場人物含めキャラクター作りには「凡庸」「陳腐」「ありきたり」といった印象しか受けなかった。一旦そう思ってしまうともう、映像面含めたあらゆる演出が「あえてやってる」感丸出しのあざといものにしか感じられず。なんだか監督の「腕試し」に付き合わされたみたいで、残るのはただ不快感のみ。「だから何？」という感想しか出てこなかった。