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[コメント] ワンダフルライフ(1998/日)

たった一つの思い出を選ぶことの出来た人、選べなかった人。その対比が甘いので、ドラマとしての盛り上がりがイマイチ生まれてこない。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一つ一つの思い出話には、思わず聞き入ってしまう魅力があるのは確か。特に「赤い靴」の思い出を語るおばあさんの、懐かしそうな、とても嬉しそうな様子にはグッと引き込まれ暖かい気持ちになれた。

だが、所詮は他人の思い出話。本人の感動に近づくのには限界があるし、人間誰しももっとも興味があるのは自分自身についてである。だからこの映画を観た人は皆、自分にとっての「たった一つの思い出」に想いをめぐらすようになる。

その「きっかけ」となるものとして、この映画の存在はとても興味深いのだが、個人的には、映画たるものその作品の中で何らかの完結をみせて欲しいという気がする。

ご多分に漏れず、自分も「たった一つの思い出」を探してみた。浮かんでくるのは、小学生の頃友だちと遠出した荒川の河川敷にてテトラポットの上で浴びた夕陽、式根島の民宿の庭で午後の陽射しのなかラジオから流れてきたカーペンターズ、結婚前今のヨメと新宿御苑のケヤキ並木のベンチから見上げた青空と冬の太陽・・・なんてことない一場面ばかり。映画の中でも、夏休みに入る前日に都電の最前部で窓から吹き込む涼しい風を選択したおじさんがいたが、けっこうそんなものなのかも。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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