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[コメント] ラッキー(2017/米)

あの朱色の電話機は繋がっているのだろうか?ハリー・ディーン・スタントンと電話機といえば、つい『パリ、テキサス』を連想してしまう。
緑雨

スタントンの遺作。海軍のコックとして沖縄戦にも従軍したという経歴は、スタントンの実際の経験に基づく。

ゆっくりと画面を横切って歩くカメを映すオープニングから、下着姿でのヨガ、コーヒーメーカー、ダイナーでのクロスワードパズル、アーチに向かっての悪態、雑貨屋での買い物、テレビのクイズ番組、酒場でのブラッディマリー…淡々とした、日々変わることのない生活ルーティーンに、なぜか目が離せない。

そんな変わり映えのしない日常に、死への恐れが生じるとともに、人々の善意とリクガメの挿話、タラワや沖縄での戦闘の記憶が混じり合い、変化が訪れる。誕生日パーティーのシーンの多幸感、そしてスペイン語で思わず歌い始めるスタントンの姿は、何故か涙が出てきそうなほど感動的だ。

名優の最後の姿が、このような形で作品として残されたことを嬉しく、また少し羨ましく思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ[*] 水那岐[*]

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