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[コメント] 告発のとき(2007/米)

後味の苦さはかつての「ベトナム後遺症」モノと共通するが、語り部となる、国を愛し家族を愛する老父トミー・リー・ジョーンズのキャラクタに抑制を効かせることで、却って深みを生むことに成功している。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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最初と最後の星条旗に係るエピソードが象徴的でよい。中盤まで、ジョーンズの「捜査者」としてのあまりの優秀さにやや興を削がれる部分を感じていたのだが、そんな彼も「一緒に戦った戦友を殺すわけがない」という断言が覆され、打ちのめされることになる。携帯のムービーや写真という媒介物の使用といい、ベトナムからの時流を経た現代性の描出も巧み。

何より「ダビデとゴリアテ」の挿話が印象的。原題はそれを反映したものだが、邦題は凡庸なものに変えられてしまった。普通の日本人に「エラの谷」などと言われても分からないので、仕方ないことではあるが。

ブロンドを暗色に染めて華やかさを捨てたシャーリーズ・セロンも好演。特に容疑者を追って疾走する姿のよさ。

全体に重厚な見応えにあふれる秀作。あとは好みの問題で、もう一歩露悪的なくらいガツンとやられるようなシーンがあれば。

(評価:★3)

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