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[コメント] 天然コケッコー(2007/日)

過去も未来も共有しながら時を過ごしていく”田舎”におけるコミュニティーのあり方を、映画という枠の中で抜群の説得性と理想郷的な好ましさを湛えながら世界構築していることにまず感心する。何より作劇臭さがまったく感じられないのがよい。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







夏帆という極上の素材も、その瑞々しさを最大限に魅力的に活かされている。透明感、というよりも純白さ。制服のシャツや靴下の白、夏の強い日差しに反射する白。あるいは、その「天然」ぶりも、けっして過剰な笑い作りを志向するのではなく、あくまで控えめに「個性」として演出されている。

控えめ、抑制…それがもう一つのキーワードかもしれない。そよと大沢の関係も、「見返り」でしかない「チュー」や「握手」の延長でしかない「手をつなぐ行為」でクラスメート以上恋人未満を表現し、そよの父母と大沢の母の関係や鉄橋からの自殺者のエピソードなどで、不穏な兆候や緊張感のあるダイアログは用意されているものの深入りはしない。

田園風景や山海をとらえた映像も、突出したカットは見当たらないものの手堅く美しく撮られている。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)映画っていいね[*] 水那岐[*]

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