[コメント] 蜘蛛巣城(1957/日)
良くも悪くも洗練されておらず、ある意味黒澤らしさがよく出た映画。ホラー仕立ての部分は、今観るとやや失笑気味だが、
公開当時だってこれ観て「怖い」とはあんまり思わなかったんじゃないだろうか。繊細さが求められるこの手の演出は、黒澤の得意分野ではないということだろう。
しかし、こうした武骨さが、一方で黒澤の本気さを際立たせるのも確か。改めて再見すると、絵作りには渾身の創意が施されていることに気づかされる。たとえば、城主が使者からの報告を受ける冒頭シーンでの独特な構図取りとカット割り、三船が城主を出迎えようと真正面から走り来る姿にズームアウト(ドリー?)を重ねるカメラワーク、等々。結構モダンだ。
そして、その本気さが結実したのが、ラストの矢のシーンであろう。あれは、今観ても、何度観てもびっくりさせられる。永遠に力を失わない映画の力が宿っている。
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