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[コメント] ひろしま(1953/日)

今迄に多くの原爆モノが作られ、又パニックモノが巷に溢れている昨今(2017)、我々観客の目には破壊された街とか阿鼻叫喚地獄なんてのは見慣れたシーンだろう。その点では、本作は比較的大人しい作品だ。が、私が興味をひかれたのは、
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作は広島の当時の高校生の文集が原作で、その内容は‘再現に重きを置いた’(上映会資料より)とのことだ。

それを踏まえて、こんなシーンがある。慰霊碑の前で、米兵が日本人女性と写真を撮っている。その次には、日本人の女の子たちがこれも笑いながら、写真を撮っている。そして、旗を先頭に観光の一団が来る。その一団に何かを売りつけようとしている孤児たち。

孤児と一団は作劇だろうが、米兵たちと女の子たちはドキュメントのようだ。(本作には警察予備軍のフィルム等ドキュメントが随所に有る)。それはともかく、この慰霊碑は'52年除幕で、本作製作の1年前だ。それが分かった時、私には慰霊碑は出来てすぐに観光地化したように思えた。ひろしまの観光地化、また風化について色々議論は有るだろうが、ここで触れるものではない。

このシーンは作劇では見られないだろうし、ドキュメントなら埋もれてしまったものかもしれない。

現実の再現を目指したこの映画だからこそ、こんなシーンが入り込んでしまったのだろうと思う。

他にも様々な現実を内包しているだろうこの本作はひろしまを考える発端になるべき映画ではないかと思う。

(評価:★4)

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