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[コメント] 隣の八重ちゃん(1934/日)

何とも明朗な作品だが、その中で暗い陰の存在を負っているのは、姉京子だろう。しかし映画は、どうも彼女を切り捨てている。‘出戻り’なんて所詮その程度さと言っている―登場させながら、フタをしている―様に思える。もう1つ違和感があるのは、あの時代の事。
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あの時代の出来事を挙げると、

1932年 満州建国、33年 国連脱退、34年 重要産業統制法、37年 日中戦争、38年 国家総動員法。

言う迄もなく、わが国が大戦へ突入していく時代だ。

国の緊迫感とこの作品の爽やかさとのんびり感は合わない。八重の父親が韓国へ転勤する出来事が、ちょっと世の中の動きを思わせるくらいだ。

と書いて来て、ふと思った。国の緊迫感に触れなかったのは、‘ワザと’かもしれないと。時事をどう描いても、何か圧力があるかもしれない。それならいっそ全く触れないでおこう。徹底して、色、恋の話にしようとした。

これが意外と正解かもしれないなあ、と今思っている。

(評価:★3)

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