[コメント] ウエスタン(1969/米=伊)
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英語題が「Once upon a time in the west」で‘昔、西部では・・・こんな女と男たちがきっと居ただろう’という意か。その男たちとは金と暴力のならず者、ガンマン、女はちゃんとした生活を夢見る娼婦だ。
ところで、名作「続・夕陽のガンマン」には米国歴史のエポックというべき南北戦争を尻目に、その戦場からちょっと離れた広場で決闘が行われるシーンがある。歴史の物語は進んでいくが、まさにその横で歴史と全く関係のない人々(賞金稼ぎたち)の物語があるという設定が、とても面白いと思った。
ところが今作のストーリーは歴史に大きく関わっており、その歴史エポックは所謂‘線路は西へ’だ。
新しい次の時代を造るのは、どんな人間だろう。金の亡者、ガンマン、ならず者たち、ではないだろう。必要なのは、真っ当な生き方をする、或は目指す人々であろう。
そう考えると、時代の過渡期を舞台としたこの物語の主人公は滅んでいくガンマン(「モンテ・ウォルシュ」なんて作品もあったね)でもよいかもしれないが、次の時代に必要な真っ当な考えをもった男(ガンマン)なら、物語にもっと幅が出来る。そこで採用されたのが、C.ブロンソンだったのではないかと思うのだ。派手さは全く無いが、真面目な印象を与える芋兄ちゃん(たびたび失礼!)だ。ガンマンは去り際「Someday」と言う。彼がいつか―帰って来た時には、今回のような目的をもったガンマンではなく、ふつうの生活を求める1人の男として帰って来るのだろう。それがC.ブロンソンなら説得力はある。
そして更にいうと、後半の決闘シーンの彼のアップを見た時その真摯なまなざしを見た時、私は正直言って、彼を男前だカッコいいと感じた。堂々たる主役足り得た。レオーネの主役抜擢に十分答えたと思った。
ラストについて一言。モリコーネの音楽抜きにしては全編どのシーンも語れないだろうが、これほど来たるべき将来に希望の溢れたラストは他ではちょっと見当たらない。本作が好きな理由の1つがそれだ。
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