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[コメント] ぼくを葬〈おく〉る(2005/仏)

まず人の死なんてシンプルなものだという印象を受けた。
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







人は生きている時には大勢の人に取り囲まれて、いろんなつながりを持って生きているが、いざ死ぬとなると、大事な人は、本当に大切な人はどれだけいるのだろう?少なく限られているのではないか。家族、友達?、仕事のパートナー?・・・

この主人公も祖母、両親、姉、恋人の5人だけだった。実際私自身の場合も指を折って数えてみると、4人いや5人−誰を入れるか大いに迷うが−(笑)。そして死んでいくのはもちろん自分1人。そぎ落としていくと、死ぬ時は人間なんてシンプルなものだ。

ドラマはそんな少人数で進む。

子孫を残すというエピソードは、普通に結婚して子供がいる人に改めてそのことを考えさせる。未来に<自分が>続いていくという事は何故か安心するものだ。逆に<自分が>途切れてしまうのは何故かちょっぴり寂しく感じる。

そしてやはりラストシーンに触れないわけにはいかない。最期をどこで過ごすかということ。あの場所を作者が思い付いた時、もちろんの事だがこの作品は出来上がったと言える。人々と一緒に居られて−世の中が感じられて、しかも一人寝ていてもよい場所だ。

夕刻人々が去って一人残される彼。寂しさを感じさせないで観ていられたのは何故だろう?彼の穏やかな心境が伝わってきたからだろうか。こんなにも死に行く人の穏やかな心持ちが伝わってきた作品もなかったように思う。

ラストシーンが強烈に心に残る作品だ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)死ぬまでシネマ[*]

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