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[コメント] 乱暴者(1952/メキシコ)

セリフのある登場人物が、すべて印象に残る。というと、言い過ぎだろうか。そして、そんなキャラたちが紡ぐ物語は、やはりリアルだ。それは本筋に関係のないキャラ、エピソードでもいえることなのだ。例えば、
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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ブルーノの母は、昔家主のメイドで、小学校では家主が父だとからかわれたという下りがある。それは、言うまでもなく父だろうし、それで‘昔からの付き合い’ってそういう事か、と観客に分かるが、特に本筋には必要でない。

また妻パロマにアンドレスが言う「前の亭主のように、借金まみれになりたいか。」このセリフは、何故こんな初老の男と結婚したのかとの疑問に思っていた観客のへの答え―金の為―になっているのだ。これも特には不要だろう。

そして分からない2つの設定。

ブルーノの家庭。妻の母と弟と幼い妹たち。働かないで人に金をたかることのみ考えている母と弟も、実に印象深いが、物語にはあっても無くてもよいだろう。

もう1つは、家主アンドレスの父親。殆んど寝たっきりだが、お菓子を盗み食いするのが楽しみ。(いろいろあって)アンドレスは殺されるが、その死体が横にあるのも気付かず、素通りする。この老人は何の為に出て来たのだ!全く物語に関わっていない。でも、いやらしく印象深い。

シュールリアリズム、不条理、エロティック、冒険もの、文芸ものと幅広い顔を見せるブニュエル。純愛ものを1つ撮ってみたかったのかも。(他に有るかどうかは知らないけど)。

この純愛ものに、よりリアルさを出す為に、より際立たせるために、正反対のもの―暴力、よこしまな心、欲望、色、金―をたくさん印象深く描いたのか、と考えた。

(評価:★4)

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