[コメント] ウィル・ペニー(1967/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作は、タイトル通りウィル・ペニーというキャラがすべてだ。と言っても、特異な人間ではない。子供の頃から1人で生きて来たという事はあるが、唯それだけの普通の初老の男だ。脚本がいい。彼の性格がよく分かる。更に言えば、ラストを最初から暗示しているかのような脚本が本当にいいのだ。
オープニングはウィルがローハイドの料理番からパンをくすねるシーンだ。小ずるく生きて来た、というより真っ正直ばかりではない、と観客に示したのだ。これが、後に分かる、彼が1人で生きて来たという事の証になる。
鉄道の支線で、ボスが言う「汽車で一緒に来ないか。馬の世話をして欲しい」。彼の年齢を考えた上でのことだろう。ボスとしては手元に置きたい人物だったのだ。
その気になった彼だったが、仲間の若手が「実は汽車が行くカンザスシティに父がいる。3年会っていないんだ。仕事を譲ってくれないか」。そういう話を断れないのが、彼の性格だ。彼は言う「俺はどっちでもいいよ・・・」。年寄りの彼に先の見える仕事をとボスは考えたのだろうが、性格が邪魔をした。しかし、そういう性格だからこそボスは来てほしかったのだろうと思う。
運を掴めない男なのだ、ウィル・ペニーは。もうこの歳だから、大人だから、自分の事だけ考えることはとても出来ない、と考える男なのだ、ウィル・ペニーは。
鑑賞後に思ったのだが、こんな彼なので、ラストでキャサリンとどうなるかはすべてわかっていたはずだったのだ。こうなるのは、当たり前の事じゃないか。
最初に言ったように、彼は我々と同じような考え方をする普通の人間だ。だから、彼の心心持ちが、我々に十分伝わってくるのだ。
そんな派手さのない男を、ヘストンは細やかに演じた。大作が多く、繊細な演技が出来ないと一部で言われたヘストンだが、ここでは意外と細やかな演技を見せてくれた。
隠れた名作というのは、評価のし過ぎだろうか。
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