コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ギリーは首ったけ(2001/米)

お金がからむとどうも話が生臭くなってしまうんですなあ。名作「メリーに首ったけ」には少々及ばなかった。
水那岐

「メリーに首ったけ」のキャラクターは悪役に至るまで愛すべきやつらばかりだった。皆懸命に恋に命をかけていたからだ。

ギリーもその点では変らない。ジョーを愛し、彼女のためなら危険も厭わない。けれど、なにか淡白な風貌なのだ。彼に似合っているのは死にゆく動物たちのために詩を詠唱してあげるといったセンチメンタルな行動であり、「メリー」の主人公のように爆発寸前の男性自身をいつもなだめているようなキャラではない。いわば白皙の美男子であるというところで、ぼくら男性観客は感情移入が困難になってしまう。

そしてまわりのキャラだ。ジョーの母親は最強の敵だが、彼女はお金に目がくらんでいる。そして、その手足となって働く悪党どももつまるところは金である。だから、主人公の行動は不条理悲劇に転がっていきこそすれ、喜劇にはなり得なかった。ギリーを可哀想だと思いこそすれ、笑い飛ばすことなどできなくなってしまうのだ。

もちろん、ギリーに頑張れ、と言ってやりたくなる手腕は、さすがファレリー兄弟、大したものである。義足のパイロット、ジョーの頑固ながら情に厚い父親など、愛すべきキャラもいる。だからこそ、ファレリーにはおセンチな喜劇を再び撮ってほしいものだ、と思わずにはいられない。人間の原動力は愛だ、そんな戯言を信じさせてほしい。ファレリーはそれを事実に変えてしまう手腕を持った監督たちなのだから。

追記:ここまで書いて、ファレリーが今回はプロデュースだけに徹していることを知りました。むべなるかな、であります。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)tredair[*] ろびんますく[*] WaitDestiny[*] ina[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。