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[コメント] ゲルニカの木(1975/仏=伊)

明確に破壊勢力と協力するカトリックへの憎悪をこめて、磔刑像への放尿はおこなわれマリア像は精液をぶちまけられる。だが、監督アラバールはクリスチャンなのだ。ここには、「キリストはキリスト教徒ではない」という複雑な欧州人の思いが厳然と存在する。
水那岐

政府軍の兵士たちが「キリスト万歳」と唱和するのを見ると、アラバールは反キリスト教徒なのかと誤解してしまうが、そのくせロバに乗って登場し、同志をピエタ像そのままのポーズで抱きかかえるヒロインは明確なキリストの模倣者なのである。キリスト教を簡単に蔑視できる日本人とは違い、すでに批判はできても深い親子関係のように断ち切れない絆を有している欧州人には、本当にキリストを否定するのは至難の業なのだろう。

映画は、所詮演劇人であるアラバール監督作だけあってセンセーショナルすぎて稚拙だが、欧州人を理解する手立てのひとつとして非常に面白い。

(評価:★3)

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