これはミュージカルになったハズだ。高畑は持てる才能を振り絞って巧みに踊り朗々と歌ってくれた。鷺巣のナンバーのなんと甘美なことか！これで変人コメディは笑いの要素を多少は欠いても、ミュージカルとして昇華されただろうに！何が『ダンスウィズミー』か！今年の本命ミュージカルと自信をもって大衆にお薦めできたのに！

だが、やはり福田雄一はコメディ特化監督だったのだ。

思えば甘美なロマンスへの切っ掛けはいくらでもあったのだ。そしてヲタクすら恋に踊る物語は紡げた、いくらでも。それでも福田は自分を曲げない。ラストだって笑えなくともラブロマンスの薫りに観客をぶっ込めただろうに、福田は映画で自己主張してしまうのだ。

お笑い好きなら高得点を用意できたろう。だが、俺としてはお笑いも好きだが3点だ。かの監督の方法論には俺はついてゆけない。ただそれだけなのだ。もうヲタクなんて珍しくもない。まして彼らの恋だって珍しくない。ロマンスを描けるほどにあなただって知っておるだろうに、福田よ。結局未だにあんたはヲタ差別映画をひとつ増やしたいだけじゃないのか。