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[コメント] ギャングース(2018/日)

犯罪ドラマの厳しさ、暗さはなく、青春バディムービーの爽やかさすら漂う演出上の味つけには好感がもてる。そもそもは不良少年の更生問題の提起から始まったのが原作コミックと聞くが、明るさはエンタメ作品としては正解だったろう。だが、これでいいのか。
水那岐

**ネタバレ注意**
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ラスト、牛丼屋で溌溂とした会話を楽しんでいる、おそらくは成功した3人の笑顔からズームアウトし、町の人いきれに店のシルエットが呑まれ、活気ある風景が広がってゆくシーンで締めくくられるプロセスは確かにいい感じだ。彼らの未来を信じさせるラストだろうし、肌もかるく粟立つ。だが、こんなに簡単に済ませていいのだろうか。ことの善悪については置いておくにしても、こんなにシロウト判断の結果がうまくゆくはずがないだろう。エンタメだから、とはこと大団円については言えないと思われる。ここは日本なのだからあの2人組よろしく機関銃でハチの巣にはなるまいが、皆殺しに近い状態にはなっている、というラストかもとも思っていただけに意外だった。それでは悲惨過ぎる、とは言えるのだが、マジメに話を進めるなら一番リアルな終点だろう。夢のような救済のシーンは断末魔の妄想として一人ひとりの胸に浮かべばよい。そんな理由ゆえ、この映画の視聴後感は爽やかだがしっくりこないものだった。その上で、敢えて言うならまったくの犠牲なくして最後の対決が済んでしまうのなら、無責任な「きっとうまくゆく」という犯罪への感覚を若者の一部に産んでしまわないか。原作ではラストバトルまでに少なくとも1人は斃れている。映画とは別物ゆえ安易には比べられないが、少々気になったので書いておく。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)セント[*] ぽんしゅう[*]

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