コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 東京喰種 トーキョーグール(2017/日)

アクション映画として志が低すぎる事実は否めない。引退騒動のときの清水富美加が「不本意な仕事」とこの作品を挙げていたのは、断じて彼女のプロ意識のなさなどが言わしめたセリフでないことは確認できた。
水那岐

敵味方それぞれが人間の四肢を備えている状況でのバトルでは、どうあってもその四肢をフルに活動させてこそ「見られる」ものとなることは小学生でもわかることだ。その戦いがいけない。片や生まれたときより人間の法に背いて食欲を満たしてきた種族であり、片や彼らを根絶するために知力・体力を研ぎ澄ましたスペシャリストの闘いの現実を見れば、それはあまりにショボい。双方仁王立ちして背後の生体武器で殺しあっているだけだ。大泉洋のバトルのつまらなさは、彼の芸歴で理解すべきちょっとしたウィークポイントでは断じてない。そしてそれ以上に、彼らを苦戦させるグールの身体能力が人間のそれに劣っていていい理由はこれっぽっちもない。

付け加えるなら、アクションより会話で魅せるタイプの映画でもない。前半において警察もグールも説明役に終始する役の者がつねにおり、そこに間抜け役が見当違いなツッコミを入れてバカにされる芝居が頻出する。ただそれだけのやりとりを普通「会話」とは呼ばない。つくづく「グール」という架空の種族を想像し、その芝居方法を突き詰めた俳優たちがもったいないったらない。清水についてはもっといい仕事を用意できたはずで、それなしに宝の持ち腐れにつなげようとした芸能プロの短慮を憎むのみである。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。