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[コメント] 黄色い星の子供たち(2010/仏=独=ハンガリー)

思いのほか「お涙頂戴」的であり、歴史に照らせば非情な事件を「綺麗なまま」に撮った甘ちゃんな描写も多いのだが、映画力を信じたカメラも散見され感心を促される。メラニー・ロランの看護婦が競輪場に到着し、彼女が立ったドアから一気に競輪場を鳥瞰するまでの長回しは、それがCGであっても優れて映画的で絶望的な名シーンだ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







少年ユーゴ・ルヴェルデが頭を刈られずひもじそうにも見えなかったり、ラストの大団円があまりに出来過ぎなことなど突っ込みどころは多いし、ヒトラーのあまりに寓意的・作為的な芝居にも問題がある(あまりに月並みな描写に、最初は登場人物の誰かがヒトラーの物真似をしているのかと思ってしまった)。

だが、歴史の一事件としてこのユダヤ人迫害が、もはや寓意的にしか語るべくもない事実を踏まえれば、こういう受け取り方もあるかと後になって思いもした。少年のモデルとなった男性は2011年現在存命中とのことだが、それ以外のあらゆる人々が鬼籍に入っていることを考えると、それも致し方なかろう。感動大作のような味付けのなかで、語られることのなかった事件を明らかにする。その方法論は敢えてどうあれとは問うまい。

限界が見える方法論も、何もないよりはマシだし、マシどころで語り尽くされるレベルの問題ですらないのだ。

(評価:★3)

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