[コメント] ラーメンガール(2008/米=日)
西田敏行のアドリブは入れられるべくして入れられたものだ。彼とブリタニーのあいだには会話の接点がまるでなく、日本語を知らない外国の観客は西田の言動を理解できない。それゆえ、せめて日本人にだけでも彼の自然な心のうちを知らしめたのは正しかった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ベッカ・トポルの脚本が、「魂」だの「宇宙」だのを平気でラーメン談義に加えてしまうものだから、それを西田が噛み砕いて「ラーメン屋のオヤジ」の自然な会話に軌道修正してやらねばならない。さもなくば、観客は論理の通じない魔法の王国に吹っ飛ばされてしまう。西田の鋭いカンには敬意を表せずにはいられない。
それでなくても、山崎努に海原雄山かと誤解しそうな料理界の首領役を演じさせるものだから、東洋の神秘はフィルムに増殖してゆくのだ。自然な日本人を敢えて役作りした西田に感謝するゆえんである。
しかし、西田の視点からこのヒロインを覗かざるを得ない日本人観客からすれば、はっきりとブリタニーはとんでもない無知、無理解、傲慢な女である。頑固親父といわれてもピンと来ない西田の困惑を前にすれば、ブリタニーのスープを捨てたくなる気持ちも良く判ろうというものだ。WASPのエゴイズムが良く理会できるお手本ともいえる作品だが、西田だけのために3点追加。
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