[コメント] ひゃくはち(2008/日)
悪音質極まりないホールで観た。それなりに凡なる高校生の煩悩を描くことに力は注いでいるのだろうし、そのあたりは褒めたい。だがまだお行儀が良すぎる。もっと汗と精液に塗れた等身大の高校生を描いて欲しかった。そういう体育会系少年たちへのアンビバレントな感情は頭に燻ぶっている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
人の不幸から主人公達がチャンスを得る筋は、これは仕方ないだろう。常人の幸福の裏には、大抵そのとばっちりで泣いている者がいる。しかしそれが愛すべき主人公のストーリーとは受け取れない結果を生むのも事実だ。犠牲となってデッドボールで退場したのが未来ある一年生だったのは救いなのだけれども…でもまあ、目をつぶろう。
しかし2時間以上の時間を費やして、なおかつこれだけの内容しか盛り込まれていないことに不満は感じた。青春物であり、なおかつ王者にはなり得ない凡人少年達の物語だ。スポ根的な演出が妙に気になったのだが、もう少し人並みの青春を謳歌させても良さそうに思える。補欠にすら引っかかるのがやっとの少年達だから、という理由はわかる。しかしお行儀のよさがどうも自分には少年らしさを感じさせないのだ。タバコや性への関心だけでは物足りない。もっと自然な男の子らしい「煩悩」が欲しい、そう感じた。
なんだか注文だらけになってしまったが、良心的な青春物、という信頼感は確かにある。それはこぢんまりと箱の中に納まっている、という意味ではない。自分は骨の髄まで文系人間であり、体育会系の青春の中の魅力的な部分を凝縮させたようなこの作品に魅力的なサムシングを感じるがために、どうしてもけなし切れないこの物語への憧れがあるのも当然なのだろうな、と考える自分ではあるのだ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。