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[コメント] 陰日向に咲く(2007/日)

悲しい過去で受動的に泣かせるのは、相も変らぬ三文邦画の常套手段である。安易な手に頼るのはやめて、新しい繋がりを感動の素材とすることがどうして出来ないのか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この話の悲劇的設定はあちこちで絡まって、親子や昔の縁諸々でグダグダに繋がりあっている。言ってみれば、これで泣かなきゃ嘘だ、という確信を持った上での設定だ。

その中で一つ、ヲタク青年がアイドルに恋し続け、繋がりを持とうとする一エピソードだけが最後まで独立した挿話になっているのだが、これさえ青年とアイドルが幼なじみだ、という安易な逃げに走ってしまっているのだ。何故ここで、メディアを通しての萌えしか感じられない男の感情の昇華、という前人未到の作劇を避けてしまうのか。このあたりに劇団ひとり、或いは金子ありさの限界を感じる。新しい革袋に古い酒を盛るのもいいが、その酒が酸化して飲むに耐えないようならぶち壊しであろう。

若い才能には革命的なエッセンスをつい期待してしまうのだが、結局悪い意味でのオーソドキシーに堕するのを見るにつけ、若者の勉強不足を痛感させられる。意余って力足らず、の見本のような作品であった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)tkcrows[*] sawa:38[*] おーい粗茶[*] JKF[*] Master[*] セント[*]

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