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[コメント] ボルベール 帰郷(2006/スペイン)

どうしてペネロペ・クルスには、ああまで血赤(クリムゾン)色の風情が良く似合うのだろう。「VOLVER」のヴォーカルは胸に深く突き刺さって紅い軌跡を引きずりつつ虚空に消える。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







女性から見てどのように映るかを断定的に語るのは、傲慢な行為そのものであるからここではしないが、容貌や年齢に関わらず円熟した作風のアルモドバルの描く女性は肉感的で逞しく、それゆえに非常に魅惑的である。これは若き日のソフィア・ローレン等にも通じるタフさであり、威厳であり美しさでもある。

オーバーすぎるほどのキスの応酬も、そうした田舎女の強い結束を語るようで微笑ましい。この中には男の這い入る隙間すらない。前半でヨアンナ・コバに殺される義父も密かに女たちに葬られたまま、誰にも顧みられようとはしない。

まさにこれは、アルモドバルによる純粋女性映画であり、それは自分のような男には限りない憧憬の対象となる世界なのである。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ガチャピン MM[*] 直人[*] デナ Keita[*]

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