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[コメント] ゲゲゲの鬼太郎(2007/日)

子供向けに徹し、あえて往年の少年漫画的演出から逸脱しなかったのは正解。登場人物の総ての行動原理と、その倫理は小学生でも理解できる平明さであり、なおかつ親達は水木しげる的ユートピアに肩まで浸れる構造を成している。
水那岐

惜しむらくはキツネの彼らなりの悲哀と怒りの理解者がおらず、子供達の脳裏からも十分で忘れ去られる構造の甘さがあることだが、こればかりを強調しても高畑勲の二番煎じになってしまう。せめて台詞ででも救いが欲しかったが、あえて目をつぶろう。

ところで水木先生も顔をしかめたというイケメン鬼太郎のウエンツだが、自分としては支持する。ただの汚い少年が扮していればドン引きは確実だろう。あれなら現代っ子の次の場面への期待を持続させられるカッコよさと思うが、どうであろう?猫娘を演じる田中のカワイ子ちゃんぶりは、さすがに時代に露骨に擦り寄っている感じはあった。ねずみ男の大泉洋は手馴れたもの。子泣きと砂かけの影はうすく、ちょっと俳優が勿体ない。

陰鬱さのない舞台設定は俺の世代には物足りないが、ゲーム世代にはこんなライトな魔界がウケるのだろう。熊倉一雄ではなく、吉幾三泉谷しげるの主題歌にピンとくる世代向けの映画。それはそれでいいだろう。思えば、これだけ長きに渡り支持されてきた漫画主人公も珍しい。水木先生には悪いが、21世紀の鬼太郎は水木しげるを超えるべく使命付けられたキャラクターだと思えてならないのだ。

付記。 鬼太郎が人間の守護者である理由くらいは、それでも説明すべきかと思うが。

(評価:★4)

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