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[コメント] 初恋(2006/日)

やはり宮崎は、『パコダテ人』『NANA』のような少女らしい「ほんわかさ」の方が魅力的に映る。19歳なりの修羅のごとき佇まいはもう身についているけれど、幼く甘えた声質がそれを台無しにしているし、演技力を問われるような役回りではこれはない。試みとしては面白い作品かと思ったのだが…。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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正直「初恋」なるタイトルから想像される場面は、皆目画面に登場しはしなかった。「同志」とでもいったほうがしっくりきただろうか。宮崎の風貌からはいささかのエロチシズムも香り立たないし、恋の痛みも匂わない。

ただし、60〜70年代の空気は伝わるには伝わる。無駄な流行歌やニュースの頻出は死ぬほど蛇足としても、左派学生のセクト主義による団結の崩壊やニヒリズムは画面から充分漂ってきた。

だが肝心の「三億円事件」がいけない。あまりにもチャチで気恥ずかしいし(宮崎の声を男の声と聞き違える筈があるものか)、小出への国家の対応も安っぽいアニメレベルのそれだ。結局、三億円事件を客寄せイヴェントにし、「三億円強奪犯は女だった」と何やら『幕末純情伝』で失敗を既に見ている、下世話なマーチャンダイジングをしてみたに過ぎなかったのではないか?もし宮崎が演技派としての自分をアピールしたいのなら、こんな下手物は避けるべきだった。

(付記)エンディングの仲間たちのその後を語るフィルムは、『ヒポクラテスたち』のような群像劇でこそ生きるもので、主役ふたりとその他大勢、というようなキャストの作品に使うのは無意味の一語に尽きる。

(評価:★2)

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