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[コメント] モーターサイクル・ダイアリーズ(2004/米=独=英=アルゼンチン)

馬鹿正直でお世辞の言えない、けれどピュアな魂の持ち主エルネストと、享楽主義者で調子が良く、いつも陽気なアルベルト。彼らのバディムービーとしても愉しめるのだが、決してお節介ではない「大衆のなかに身を置く」というエルネストの姿勢が、後に革命家として世界を渡り歩く人生を形作っているようで、非常に興味深い。
水那岐

残念なことに、共産主義政権は彼の関わったキューバを含め世界各国で腐敗し、最後には独裁主義政権に変質していった。だが彼のプロフィールを眺めて感じることは、そうした「カタチを変えた絶対君主」には決してなることのない、死ぬまで大衆のうちにあった革命家であれたために、彼は大衆に愛されつづけたということだ。その萌芽がこの物語からはくみとれる。

最初は恋人にみやげを買って帰るくらいの気楽な旅だったはずが、永遠の旅になる。その過程は凡百の物語に増して美しい。実際、まだ若く何物にも毒されていない青春の季節において、エルネスト・ゲバラがこの旅に出たということは、じつに価値のあることだった。陳腐な表現になってしまうが、若さとはかくも光り輝く財産なのだ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (9 人)浅草12階の幽霊 ホッチkiss[*] kazya-f[*] JKF[*] トシ makoto7774[*] HW[*] リア[*] ねこすけ[*]

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