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水那岐さんのコメント: 点数順

★5祭りの準備(1975/日)生ぬるい汗の香りに満ち満ちた、故郷という名の蟻地獄。親さえもがいつか脚に齧りつこうと狙いつづけている。執拗にリフレインされるメロディラインがその陰惨さに拍車をかける。それは永遠に続く祭祀的コミュニティの象徴だ。 [review][投票(9)]
★5ベン・ハー(1959/米)「一粒で二度おいしい」状態。ベン・ハーの恩讐と戦車競争のスペクタクルに加え、同時代人イエスの伝えられる生涯を「理解しやすく」描いている。しかしそれは現代においては「キリスト教原理主義」と映り、異教徒や無神論者にとってはナンセンスにしか映らないであろうことは、ひとえにこの映画の「奇跡」描写に拠っている。 [review][投票(9)]
★5助太刀屋助六(2002/日)真田広之はいろいろこなせるように成長したが、やはり「坊や」役者にとどめを刺す。ここまで、いつまでたっても「カワイイ」男を演じられる役者はそうはいない。その活躍を山下洋輔のジャジーな音楽に乗せて味わう。これは至福というものだ。 [review][投票(9)]
★5百万円と苦虫女(2008/日)世間には苛める人間と苛められる人間だけしかいない。無関心を装うものたちは、既に苛めるほうの側にカテゴライズされているのだ。その中で情けや愛の出まかせに心を揺らすことなく、わが道を行く姉弟。彼女らにこそ人間の成長というものは備わっていくのだろう。 [review][投票(8)]
★5小さき勇者たち 〜GAMERA〜(2006/日)やっと少年たちのもとに『ガメラ』が戻ってきた。それは「人類の守護者」などではない、明らかな「子供の仲間」だった。 [review][投票(8)]
★5機動戦士ΖガンダムIII 星の鼓動は愛(2006/日)仏の顔も三度バッグ。殴り心地がいいほどいい点数だ、完成おめでとう! [review][投票(8)]
★5花とアリス(2004/日)元気さが売り物の鈴木杏なのだから、垂らした前髪をかき上げてくれないかなあ…と、そんな事を思いながら観ていた。今度ばかりは美味しいところは蒼井優にプレゼント、という感じかな。 [review][投票(8)]
★5カラーパープル(1985/米)外見に惑わされてはいけない。これは普遍的な愛情と許しの物語なのである。強い立場に立つ者必ずしも強くあらず。虚勢を張っているに過ぎない場合だってあるのだ。スピルバーグのナチュラルな感性がもっとも善いかたちで発露された佳作。[投票(8)]
★5となりのトトロ(1988/日)今のところ宮崎監督の最高傑作、とあえて断言してしまおう。「パンダ・コパンダ」の延長線上にあるが、日本をずいっと前面に出したところにこの作品の価値があると思う。[投票(8)]
★5どですかでん(1970/日)アニメーション、あるいはSFのような黒澤との違和感。 [review][投票(8)]
★5天気の子(2019/日)痛快エゴイズム恋愛巨編。好きな娘と一緒にいられるなら、世界が滅亡しようが本人は痛くも痒くもない。これは青春の真実だ。ここまで大人の良識をあっさり捨て去った映画を単純に絶賛できることを、俺は爺さんとして誇りに思う。 [review][投票(7)]
★5セッション(2014/米)まさしく師弟が憎悪をむき出しに潰しあう、梶原一騎イズムの継承。これを狂気のぶつけ合いと片づけるのは全くもってつまらない。五感を駆使しての暴力の応酬が、なぜかカタルシスを生む結果に昇華されるラストは、スポ根のあやふやな効果をはるかに凌駕する稀有な体験。 [review][投票(7)]
★5カムイ外伝(2009/日)山崎努の力と諦念を持ち合わせたナレーション、そして岩代太郎の品格ある音楽。カムイが恨みを燃え立たせ、そしてそれを爆発させるに至る展開はベタでも、これはかつて日本にもあった「虐げられた者の時代劇」の見事な復活であり、これを支持せずしてコミック映画化にもはや明日はない。 [review][投票(7)]
★5真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章(2006/日)既に出尽くした観のある北斗世界のギャグ部分を廃し、総てのエピソードに関連性を持たせることによって、「北斗正史」とでも言うべき物語が語られ始めた。これはもう、ぞくぞくするほど刺激的だ。 [review][投票(7)]
★5茶の味(2003/日)「♪なんでアナタは三角定規なの!?」のフレーズが頭から離れない。これはオタク風味の小津スタイルムービー、しみじみする場面はちゃんとあるけれど、穏やかな展開を期待すると後頭部をどつかれます。ご用心召されよ! [review][投票(7)]
★5ラ・マンチャの男(1972/米)正の意志をもった狂気のなんという強さよ。ピーター・オトゥールの瞳の澄み切っていること、ソフィア・ローレンの面構えの気高く逞しいことが忘れられない。主題歌の高らかな意志の賛美も心に染みる。[投票(7)]
★5息もできない(2008/韓国)皮肉にも、長幼の序を何よりも尊ぶ東アジアの国で偶然出会った、父親を「糞野郎」としか表現できない年の離れた二卵性双生児。ヤン・イクチュンはこの国に生きる理由を求めて足掻く。そして根無し草のブルースを口ずさみつつ愛を渇望する。 [review][投票(6)]
★5機動戦士Ζガンダム 星を継ぐ者(2005/日)富野監督自身が「他者の目」でΖを見られるようになるのに、充分な時間が過ぎたのだろう。一本の作品として眺められる『Ζ』を、やっと観ることができた。 [review][投票(6)]
★5春夏秋冬そして春(2003/独=韓国)キリスト者、キム・ギドクの描く仏僧の一生は、やはり彼なりのスタンスから産み出される哲学に貫かれている。小坊主に背負わされた「原罪」は、その後彼が重ねてゆく行動への道標となり、それに対する老僧の「許し」は仏の慈悲であると同時に、イエスの許しとも繋がる。 [review][投票(6)]
★5海を飛ぶ夢(2004/スペイン)極めてプライベートな、だが重要なモラル。それが決して他人からのいい気な批判によって打ち砕かれなかったところに、この物語の価値がある。 [review][投票(6)]