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[コメント] GO(2001/日)

ハリウッド映画に出てくるお屋敷顔負けのお上品なラブホで、ハリウッドスター顔負けのエレガントなラブシーンを演じる青二才の二人に敬服。
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







場面を構築する演出力は感じるが、要所、要所で映像表現を優先させ、リアリティーを蔑ろにしてしまっている。

ところで、在日問題についてはほとんど無知に等しい井の中の蛙たる俺は、横柄にも思う。叫ばねばならないことを山ほど抱えているらしい彼だが、この上なく強い父親、この上なく優しい母親、とてつもなく有り難い二つの宝物を抱えていた。今の日本で、それ以上に望むべくものがあるだろうか? 彼とは対照的に父無き身の上、妹への責任感が暴走したジョンウィル君の死だけが、ひたすら痛かった。より現実的に問題と向き合っていた物語中のベストガイたる彼に、理不尽極まる死を与えた脚本に、どうも疑念を抱かずにはいられない。そんな必然性があったのかと。

ちなみに、シェイクスピアを持ち出すのはいいが、何でロミジュリを選んだのかが理解できない。日本人と在日の間の恋を、お家同志が対立しているにもかかわらず惹かれ合うロミオとジュリエットに引っかけたのか? だとしたら、閉口するほどのナルシズムだ。

「バラの名前を変えたって、その香りが変わる訳じゃない。」

引用したのはこの台詞だったと思うが、敢えて言いたい。

「ペンペン草の名前を変えたって、その臭いが変わる訳じゃない。」

主人公はどちらかと言えばバラ。バラの苦悩を描くだけで、ペンペン草の苦悩(=在日、日本人に限らず、浮かばれない青春を送る若者たちの苦悩)には、唾をつけて終わらせるような映画だったように思う。

(評価:★2)

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