相も変わらず譫言の様な脚本だ。まず、こんな脚本によくゴーサインが出るよな…。

ところで、ひとり、またひとりと呪い殺していくのは、“化け物”の所業だ。

ちなみに、あらゆるものをぶっ壊して、誰彼かまわずぶっ殺していくのは、“怪獣”の所業だ。

俺の記憶が正しければ、貞子は前者だったと思うんだが…

この脚本、何をやっちまったかって前半は丹念にホラー映画の定石を積み重ねてたのに、途中で突然怪獣映画になってしまっているのだ。

進行を急ぎつつ、強引に展開（転回）しようとするプロットが劇団員達から然るべきキャラクターを没収した瞬間が、目に見えたでしょ？ そう、劇団員達が貞子をリンチするシーンです。映画のたがが外れた瞬間でした。あのシーン前後でこの映画は無意識にジャンルの鞍替えをしてしまい、怪獣の大暴れに雪崩れ込んでしまったのです。もう、腹抱えて笑いました。

俺は、そういう創る側が本気で足を踏み外す瞬間が好きです。それは、創る側にとっては全く不本意な楽しみ方であるに違いありませんが、映画の大きな楽しみであることも確かなのです。