[コメント] ゴッドファーザー(1972/米)
『卒業』な生き方が許されない凡人マイケルにとって、妻一人を幸せにする事がどれ程難しいかを見落としがちだ。重責のために妻を犠牲にしたのは、マイケルの弱さではない。普通の男という神ならぬ生き物の宿命だったのだ。
ビトーのような男は、むしろ神に近い。いや、文字通りと言うべきか。神の如き父親と比べた時、世継ぎとして一見似つかわしく見えるこの息子が、いかに凡庸であるかが解る。そうであるにもかかわらず、受け継がざるを得なかった、神が座るべきその王座。父親とのサイズの違いが、息子に血を吐くような背伸びを要求する。
強がらなければならない凡庸な王子の葛藤と無力を写実する傍ら、蔑ろにされる極妻の悲哀をこれほど丁寧に追ったヤクザものもまた存在しない。
何度観ても発見がある。
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