アメリカ映画は９０年代に打ち尽くして、煮詰まった心境を反映するかのようにアングルもカット割りもせせこましくなっていったように感じているのだが、この映画はそういう流れを汲みながらも何だか妙に落ち着いて堂々としていて、こなれた感じがした。そういうふうに「技法がこなれた」と感じられる映画がこのところ多い。

反面、話はますます複雑で…できる女、いや女も男もなくて、仕事ができまくるお人のお脳がアドレナリン全開のフル回転止まらずで不眠症の、セックス依存の、一度おっぱじめたら敵味方関わらず蹂躙せずにはいられないというのは人の欲望と孤独の物語だと思うが、ライフルとペニスしか信じていない腐れオールドタイプどもからヴァギナたちを手籠めにせよと持ち掛けられてプッツン来たという展開は幾重にも切ない。

肌色のストッキングが描くスマートできれいなラインは彼女の無敵状態の象徴みたいに見えたが、ムショから出てきた彼女はこれから寒々しい娑婆に再び出ていくことを象徴するかのようにファーを着ていて、ストッキングは黒でめちゃくちゃ細く見えた。君、そんな細い足で胴回し回転蹴りを決めたのか…