コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] アメリ(2001/仏)

センス悪いよ、この映画。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







さっぱり分からん、この絶賛の嵐。

センスのいい映画って言うより、なるべく「センスがいいね」って言われ易いネタだけを選んで披露した映画。 センスの見せ方にセンスがないんだよ。センスの良さってのは自然に滲み出るものでしょう。 「何を見せるか」と同じくらい「どう見せるか」が重要なのよ。特に「笑い」を扱う時は「どう」の部分に細心の注意が必要。 この映画ははっきり「面白いでしょ?」って披露する方法を使ってる。これはなかなか諸刃の剣で、分かりやすいという利点はあるけど、 よほど的確に見せないと、途端に寒いだけになってしまう危険を孕んでいる。 その辺に対しての注意が今ひとつ足りなかったようだ。全編「笑えるか、笑えないか」のネタで構成するのは、笑いのプロでも難しいもの。 いくつかの最高に素敵なネタも(電話で指示するとこがお気に入り)、それを安易に繰り返したり、 いくつかの凡庸なネタに足を引っ張られることにより、台無し気味。もったいない。見せるテンポも常に一定の速さで、工夫が足りない。

これはあくまで良くも悪くも万人向けの娯楽映画だと思う。 おしゃれだの個性的だのハリウッドとは違うだの言ったって、「これはおしゃれだ」って感じる喜びだって一般的な娯楽要素の一つだよ。 誰でも気軽に「おしゃれなセンス」「個性的なネタ」を感じられる「良質の大衆映画」ってこと。俺には何も特別視する理由が見当たらないな。 この監督は凡百のハリウッド監督よりも大衆性との付き合い方が優れているんでしょう。 この絶賛ぶりはちょっと自分に自信がなくなってしまいそうだ。

ストーリーについては、言うまでもなく大した意味はなく、ネタ披露の方が本業。 ハナからちゃんと筋道立てたストーリーじゃないし、確信犯的なご都合主義だと思うよ。 アメリは人を幸せにしたい気持ちなど微塵も持っていない、自分の幸せと向き合うのを恐れただけ。はっきりそういう話だったと思うけど、 なんで「幸せをもらう映画」って事になってるのか不思議。ただのコピーでしょ。これで幸せになれるなら元々幸せだったと推測するしかないな。 というか「何度か試した」りするふてぶてしさがあるなら、何も応援するまでもないと思うんだけど・・(汗)。 ハッピーエンドだから、今回は絶頂に達したってことかな?

一つだけ惜しいなって思うことがある。長い。どう考えても出会って終了すべきだったと思う。空想の殻に閉じこもったアメリが初めて思い切って自分なりの精一杯のアプローチで彼に会いに行って見事に出会う、ここが最高の見せ場でありここで終わればファンタジーが現実へと進む瞬間の絶妙のタイミングだったのに、その後を描くと現実とのバランスが崩れる。感覚的にもそもそもこの密度でこの時間は長い。あの最高の場面で終わってれば、いろいろ不満はあったけど、終わりよければ全て良しで気持ちよく家に帰れたのに、俺としては残念に思う。

*ネタバレ投票受けた理由がよくわからなかったんですが、いい機会だしこの際全面的に直してみました(その際、さらに辛口になってますが別に反発してるわけではありません)。お気に入り投票してくれた方々には申し訳ありません。

*誰にオススメできるかについて書いてたましたが、余計なお世話なんで削除しました。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (23 人)みくり[*] muffler&silencer[消音装置][*] ビビビ ゼロゼロUFO[*] トシ[*] Ribot[*] まご[*] ペンクロフ[*] ゆーこ and One thing[*] マルチェロ[*] peacefullife[*] 鵜 白 舞[*] ハム[*] すやすや[*] すわ[*] もがみがわ[*] 電気一郎[*] tamic[*] 水那岐[*] kiona[*] セネダ ぷり[*] 狸の尻尾[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。