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[コメント] アメリカン・グラフィティ(1973/米)

これぞ、青春! ただその瞬間に輝くからこそ青春なんだ。いまはもう、そこにないから…。(2008.01.10.)
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ジョージ・ルーカス監督作品で唯一観ていなかったこの作品だが、実に良いではないか。ルーカスがプロデューサーではなく、監督として優れていることがこの映画を観れば一目瞭然だ。

「卒業して、明日街を出るか、出ないか」。その前日の夜、その一晩だけがこの映画の舞台。決して大きな事件は起こらない。主人公たちに大きな変化も起こらない。だが、それぞれのエピソードが魅力的で、多くの観客が自らの青春時代としっかり重なられるように出来ており、ジュークボックスのように流れ続ける60年代音楽が雰囲気を醸し出し、何よりアメリカンドリームが崩壊する以前のアメリカの匂いを感じさせてくれるのが良い。

大きな展開があるわけではないこの映画において、目立ちはしないけど俳優がすごく生かされている。小さな仕草だったり、反応だったり。ルーカスがきっちりディレクションしていたのではないだろうか。のちの『スター・ウォーズ』では広大なる宇宙を描き出したが、この映画で描き出した小さな宇宙も、世界観の構築という面では素晴らしいと思う。雰囲気って、世界観がしっかりしていないと絶対出てこないものなのだ。

この映画の中で、街を出るか出ないかの葛藤が主人公たちにあるわけだが、これは良く考えるとルークがタトゥーインを離れて旅立つか否かの葛藤に似ている。ふたつの太陽を眺めているあの名シーン! 『アメリカン・グラフィティ』を撮った監督なら確かに!、と感じさせる部分がある。

(評価:★4)

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