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[コメント] NINE(2009/米)

ショーとして割り切って観ましょう。(2010.04.13.)
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







フェリーニの『8 1/2』を観たときは、まったくもってよくわからない映画だと感じたのを覚えている。それはそうでしょう、映画作りに行き詰まった監督の迷いを映像にしたものなのだから、ワケなんかわかっても仕方がないのだ。すでに名作を残していたフェリーニという監督が作ったからこそ、映画史に残る作品になっていたのが『8 1/2』なのだろう。

しかし、それをもとにしたミュージカルの映画化ですか。最初からストーリーに関しては放棄していました。実際、ストーリーはあってないようなもの。ミュージカルシーンなしだったら、なんとヒドい映画だったことか。本当にこの映画は映画の大半を占めるミュージカルシーンの魅力で成り立っている。ある意味、歌番組に近い。「次はあの人が出てくるかな?」といった、名女優の登場が楽しみになってくるのだから。

ミュージカル演出に関しては、ロブ・マーシャルは手慣れたものです。違ったタイプの女優を揃え、それぞれ印象的に見せてくれました。個人的にはペネロペ・クルスの妖艶さに一番の魅力を感じました。ここ最近の彼女は、画面にいるだけで絵として引き締める力を持っているほど。女優として、ピークにいるタイミングがまさに今なのでしょう。それと比較するとニコール・キッドマンは美しい女優としてはやや下り坂に入った印象が残りました。もう『ムーラン・ルージュ』の頃のような勢いは感じられません。

曲としても含めると、ケイト・ハドソンが歌った「Cinama Italiano」がベストでしょう。一番無警戒だった彼女、物語上は重要な役ではないが、インパクトを残してくれました。映画鑑賞後、唯一DLした曲でした。

ロブ・マーシャルは『シカゴ』では、ミュージカルシーンと物語を見事なテンポでまとめあげていたが、本作はあまりにバランスが悪い。ショーとして割り切って観るべき映画です。もし、2度目を観るなら、ミュージカルシーンだけは集めたクリップ集で良いです。DVDでそういう特典を入れてくれればいいのに・・・。

(評価:★3)

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