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[コメント] ロープ(1948/米)

内容ではなく、どうしても全編ワンシーンワンカット撮影という部分に目が行ってしまうのはプラスでもありマイナスでもある。だが、実験的手法の中でも、計算された場面作りで緊迫感をきっちり演出できる点は、さすがヒッチコック。(2007.12.24.)
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ワンシーンワンカットという技術的な部分をまったく気にしない観客が観た場合の意見も聞いてみたいものだ。単調な映画だと映るのか、緊迫感が持続した映画だと思うのか…。

ただ、おそらくは後者だと思うのだ。ヒッチコックはカット割りと編集こそ映画の基本という姿勢で、巧みな演出を駆使してくる監督。この全編ワンカットに見せた『ロープ』においても、カットを割っているのと変わらないくらい、カメラの位置にはこだわっているのが良くわかる。だたカメラを回しっぱなしにするのではなく、どこをどのタイミングでそう撮るか、それが明確であったことが非常に良かった。だからこそ、緊迫感のあるサスペンスとして観ることができたのだ。

リールを約10分で切り替えなければならないゆえに、俳優の背中に寄って行き暗転した瞬間に切り替えを行っているが、これがあからさまにわかってしまうことが、実は微笑ましかったりする。そこまで露骨に、全編ワンカットに見せて舞台的に見せることにこだわった試みは、やはり評価しなければいけない。仮にこれが失敗だったと仮定しても、それは試さなければわからないのである。

(評価:★4)

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